人材不足は、施設経営の命取り


NPO法人福祉サービス経営調査会主催
2019年度 第1回 社会福祉経営セミナー
令和元年7月10日

藤澤眞知子
最近技能実習生面接の件でインドネシアへ日本から8人で行かれたと聞きましたが現地の状況はどうでしたか話してもらえませんか。

笹山周作
7/3~7日までジャカルタに行ってきました。面接の実習生は、全員看護師資格をもって技能実習生として来られます。面接の人数は7/4日48名、7/5日42名、合計2日で90名の面接をしました。看護師の資格をもって日本へ来たいという人を集めるのは、インドネシアでも大変だと聞いています。しかし私は、日本で、介護で働きたいという人を日本で集めるよりはインドネシアで集める方がまだまだ集めやすいと思います。

藤澤眞知子
EPA(経済連携協定)、技能実習生、特定技能1号、留学生と海外から日本へ来る制度がありますが内容を説明して頂けますか。

笹山周作
EPAでは10年前からインドネシア、フィリピン、ベトナムの方が来ています。ベトナムは看護師資格があり1年間日本語を勉強して日本語N3を取得した人が来られます。インドネシア、フィリピンはN4でもN5でも来られます。介護福祉士試験の合格率で差が出ます。ベトナムの方は90%位合格しますが、インドネシアやフィリピンの方は30%代です。ちなみに日本人は70%位です。現在26人、この8月で36人のEPAの方を受入れていますがEPAの募集の人数はベトナム200人、インドネシア200人、フィリピン200人日本全体で600人です。EPAで来られたベトナムの方を翌年連れて行って後輩に連絡をして来てもらっていますがEPAでベトナムに募集に行ったとしても来てもらえない状況がうまれています。

藤澤眞知子
人材を欲しい法人はたくさんありEPAのシステムは知っていましたが問題が起こった時に国際問題になると思い躊躇していましたが10年の歴史があるので1年目インドネシア、2年目ベトナムへいきましたがベトナムは駄目だったのでもう一度チャレンジして駄目ならあきらめようと思っています。
現在ささゆり会さんは、EPAでベトナムから来られていると聞きましたが仕事、生活面についてどのような状況ですか。

笹山周作
最初の人は本人も寂しかったし大変だったと思いますが3年もたてば看護師の資格もあり優秀な方ばかりなのでトラブルはありません。病気になった時は職員がつれていきますがそれくらいです。インドネシアで3月に技能実習生を19名採用し、今回とあわせて56名採用しています。これからは技能実習生と特定技能1号の人達に来ていただこうと考えています。留学生の中に語学学校へ来られている方と専門学校に来られている方がいます。専門学校は費用が高く2年間で入学金を含めて約192万円かかります。アルバイトで生活しますと週28時間しか働く事ができませんのでアルバイトしたお金が生活費になります。そうすると勉強時間が少なくなります。専門学校も海外から来られている人が多くいますが費用の問題があります。さくらケアサービスで専門学校の人を1人応援していますが入学金を含めて192万円の支払と兵庫県社協の奨学金160万円を私が連帯保証しています。現状としては専門学校へたくさん来られている人達がどのようなシステムで来て勉強しているのか理解が難しいです。語学留学は働く為に来ている人が多いので国が入国の規制をかけると思います。

藤澤眞知子
くすのき監理団体はインドネシアへ行っていますが最初はベトナムへ行こうとされましたが向こうの送出し機関の締め付けが厳しいのですか。

笹山周作
ベトナムは送出し機関が13管理団体しかありませんので、日本に来てもらう条件をあげてきています。政府との関係があると思います。インドネシアの方達は銀行ローンで借り入れ10万円~20万円位と聞いていますがベトナムから来る人は借金が100万円位と聞いています。監理団体が13しかないのでベトナムから来る技能実習生は借金が多い状態で来る可能性があり日本へ来てから問題が生じるのではないかと心配します。

笹山周作
藤澤さんの友朋会さんもEPAでインドネシアから来られていますが仕事、生活についてどのような状況ですか。

藤澤眞知子
ベトナムからEPAで来られる方はN3をもっておられるので魅力的ですが採用するのも難しいし、インドネシアの方が穏やかなのかなと思っています。最初はワンルームに住んでいましたが3DKを借りて2人ずつ住んでいます。地域の方に受入れられないかと思いましたが自治会の方にも気にかけて頂いて助かっています。ラマダンが約1ヶ月ありまして昼間に飲食しない。夜は大丈夫ですが、EPAの国際厚生事業団からラマダン期間中の注意点の連絡がありました。1人が熱をだして大変でしたがラマダンをどうしていくかというのがインドネシアの方を受け入れる中で一番大変です。お祈りも1日5回きちんとする方もありますが休憩時間だけで納得する方もいます。休憩時間にすると決めてあげれば納得すると思います。

笹山周作
ベトナムの方もインドネシアの方も家族を支える為に働いています。ベトナムへもインドネシアへも面接に行きましたがインドネシアの方の方が優しいと思いました。ベトナムの方は自分の権利を主張しますがインドネシアの方はそこまでせず優しい所があるように感じました。前回も合わせて120名あまりを面接させてもらって優しい人は介護に向いていると感じました。

藤澤眞知子
笹山さんはなぜベトナムからEPAで日本へ来てもらおうと思いましたか。

笹山周作
5~6年前にホーチミンに行きベトナム語ができる日本人に会いました。その縁でベトナムが良いのではと思いました。ベトナムのEPAの人は最初の契約の内容が正社員と同じなのでベトナムへ帰るときの休日の取得などを決めました。

藤澤眞知子
国際厚生事業団という国の外郭団体がサポートしていますので出す書類もたくさんあって面倒でしたが技能実習生制度も、監理団体はきちんと監理しなければならないので国際厚生事業団と同じくらいきちっとしなければならないのでエネルギーが必要になると思います。

笹山周作
国際厚生事業団から色々教えて頂いていますので介護福祉士の勉強会のテキストも同じようなものを作って勉強しています。インドネシアから来る技能実習生も介護福祉士を取得できるように考えています。

藤澤眞知子
ベトナムの方は介護福祉士試験に90%合格されるのは驚異的です。N4もなかなか難しいのでN3を取ってこられる方というのは優秀です。

笹山周作
N3をとるには1年間毎日8~10時間日本語の勉強をしないととれません。N4は4~6ヶ月で取得できます。介護福祉士試験に受かる為にはN2が必要になります。N4からでしたら早い人で2年、遅い人で3年は日本語の勉強を徹底しないといけません。そこから介護福祉士の勉強をしていきますから取得には4~5年かかります。デイサービスのように利用者との会話がありませんので特養の場合は寝たきりの人が多いので日本語の会話の勉強がしにくいです。介護記録を日本語で書かせていてそれを日本人がチェックをするようにしていますが日本人の国語能力が心配です。(笑)

藤澤眞知子
これからの少子高齢化についての人手不足の現状をどのように乗り切っていけばよいか笹山さんの考えを話してもらえませんか。

笹山周作
団塊の世代の方が今70歳、あと10年経つと介護を必要とする高齢者が増えます。その後減るかというとそのまま横ばいになると統計で出ています。少子高齢化の少子化はますます進んでいくことを考えますとここ10年~20年は常時人手不足が考えられます。5年前と今の状況は明らかに変わっていますがこれから5年10年先はもっと人手不足になります。
海外から来てもらわないと駄目になります。海外から来てもらって誰が一番良かったかというと日本の職員が得をします。休みもきちんととれ残業がない状態で働けます。法人の方は給料が上がっていくので経営は苦しくなりますが職員の給料はあげないといけないし、福利厚生は充実させないといけないし、残業はなくさないといけないし、休みも多く取らせないと生き残っていけません。日本の職員は、私には海外からの技能実習生のことは関係ないと思っている人もいるかもしれませんが海外から来てもらうことによって休みも取れ残業もなくなることを理解してもらわないといけません。最初は日本人も大変ですがEPAで来て2年3年いる先輩が新人のEPAの人を教えていくようになります。

笹山周作
藤澤さんもこれからの少子高齢化についての人手不足の現状をどのように乗り切っていけばよいかの考えを話してもらえませんか。

藤澤眞知子
すべての分野で若い人が少なくなりますから介護業界だけではなく人手不足は課題になると思います。ITやAIやロボットを使うと言われますが介護分野では介護ロボットが食事介助をするものが以前ありましたがおむつ交換にしても人間の力が必要になります。体と心によりそう介護をする人を育てないといけません。専門職ながら専門職と認めてもらっていないのが日本の現状だと思います。きちんとした介護のメソッドがあって日本人も外国人もそれができるような標準化が大事だと思います。

笹山周作
ベトナムの人は日本語とベトナム語でマニュアルを作って、インドネシアの人は日本語とインドネシア語でマニュアルを作って日本語を勉強してもらって日本人と同じように介護やコミュニケーションをとってもらいたいと思います。どこの国の人でも介護したいという人がいれば受入れていく。そういう考え方でないと介護業界はやっていけないと考えています。

藤澤眞知子
中国の方もたくさん留学生で来られていますが中国の方も来て頂けますよね。10億以上いる人達が外国へでられる政策をとればできますよね。

笹山周作
中国は所得が上っています。所得が大きくあがって日本の半分位になると来てくれません。インドネシアの人口が今2億6千万人、ベトナムが9,200万人程なのでインドネシアの人がこれからどのようにして収入を得ていくかというのは大変だと思います。これからの若い人達が食べていく為の政策の仕方は難しいと思います。

藤澤眞知子
今、ベトナムからの技能実習生が日本へ来ることの人気が高いと思いますが今後どうなりますか。

笹山周作
ささゆり会はEPAで来た先輩を連れていってリクルートしてもらうというやり方です。技能実習生の送出し機関の問題は、弟の紹介でインドネシアにいきました。特定技能は直接なので特定技能でベトナムから来てもらうことも考えています。インドネシアからの特定技能1号で来て頂くことも考えています。特定技能1号試験に合格して日本にくれば会社をかわることも自由です。長くいてもらうためにはどうしたらいいかを考えてインドネシアの送出し機関と連絡をとり日本へこられる試験が3科目ありますのでそれに合格して来て頂く。本人が勉強して合格するのはなかなか難しいので日本語学校や送出し機関で勉強する必要があります。それが8~10ヶ月かかると思いますがその費用をうちがもって送出し機関から特定技能で送出してもらうことを考えています。技能実習生で来る人と特定技能で来る人がいれば幅が広がります。日本で登録支援機関を作りそこがサポートをする。監理団体であるくすのきの書類や手続はすごく大変です。人や場所にお金がすごくかかります。登録支援機関になれば半額ぐらいになるだろうと思います。特定技能で来る人が増えてくると思います。インドネシアの看護師資格を取得した人が1円のお金もださなくて日本へ来られる。8~10ヶ月日本語の勉強や介護技術の勉強をして日本へきたらどうかと考えています。

藤澤眞知子
技能実習生や特定技能等、外国人労働者が日本へ来る間口が広がって色んな立場で来られる人がいます。その人達の条件が違ってきます。インドネシアから来られている人は元々家族の為に働きにきていますが貧困な家ではなく短大などでていますので横のつながりで条件等を言い合います。細かいことを出してくれないといいます。インドネシア人同士が給料の話をすることを懸念しています。

笹山周作
これは難しい問題でEPAの人は日本人と同じ待遇でと決まっています。条件的にはEPAが一番いいです。技能実習生は送出し機関に払う費用がありますし、監理団体に払う費用があるのでその手数料分さがります。技能実習生は3年間です。3年間はこういうことで給料が安いけれども契約書に基づいて納得してもらう。特定技能になれば社員と同じ給料になってくるのでEPAの人と同じになってきます。契約概念があるかどうかというのが一つあります。受け入れる法人についても費用をどこまで出せるかというのもありますし、日本人より高く出す事はできないし安くもできません。その辺のバランスが難しいですがよく説明をしてその了解のもとで来てもらう。EPAの人はボーナスがでているというように納得してもらうしかありませんがいろいろな話は出てくると思います。

藤澤眞知子
ベトナムの方は優秀なのでIT企業にたくさん就職されていて欧米人と同じ給料をもらっています。介護も人気があるのでしょうか。東南アジアも給料が日本に近づいてきていますが現状では一家で月額4~5万円で生活している人もいます。

笹山周作
毎年5%~6%の成長率ですから給料も上がってくると思います。今は、日本へ行きたいと思いますが給料の差が縮まってくればまた違う国を探していかなければと思います。5年はもちますが10年は解りません。インド、バングラディシュへ募集に行っているかもしれません。

藤澤眞知子
最後に今後10年後、20年後の日本の介護について話してもらえますか。

笹山周作
正直解りません。人手不足は間違いありません。施設に入れない人は自宅で見ていく。子供が見ていくしか方法はありません。施設に入れる人は良かったねという状態になり、  地域包括ケアというのは在宅で娘さんや息子さんが見るというのが地域包括ケアの最終の行き着くところではないかと思います。ヘルパーも人手不足でいませんので家族がみる。これは事実です。藤澤さんもこれから10年後、20年後の日本の介護について話してもらえますか。

藤澤眞知子
家族が家族の介護をするというのは難しいし家族の為に自分の人生を犠牲にする家族はどこまでいるのか老老介護の極めつけは一人でなんとかしていき孤独死になる。地域包括支援のシステムがきちんと出来上がっていれば孤独死があったとしても自然な形で死ぬのはいいですが1週間も解らない状況は寂しいので、ヘルパーやケアマネさんが在宅の人を支え訪問するのは大切です。在宅を支える人材が少なく、おうちの鍵を預かって24時間ヘルプをするというシステムを国が主導でやりましたが夜中に来てくださいという人はおらず日本にはなじみませんでした。外国人の方の訪問は許可されていません。家事労働でフィリピンの人が来ていますが延長上で見守りにはなるかと思いますが介護保険から家事労働は外されてきています。

笹山周作
地域包括ケアのメインはヘルパーさんでそのヘルパーさんを確保する為にはどうするかになりますと最後は外国人になると思います。外国人が見守り等をしなければできないと思います。

藤澤眞知子
今後家族の方が外国人のホームヘルパーを受け入れ、抵抗の内容にしないといけません。以前日本人男性を拒んだ家族もありました。介護する人も、される人も日本人の気持ちを変えていかないといけないと思います。

笹山周作
ヘルパーになる日本人がどれだけ集まるか。ますます大変になると思います。

藤澤眞知子
在宅を支えるには、施設が安否確認をしていく体制が必要です。今後外国人が介護の仕事をするうえで、コミュニケーション能力が重要です。そのためには外国人がわかる日本語を日本人が習得しなければいけません。日本語の修得の為には日本人も外国人にもわかるメソッドがいるのではないかと思います。以前失語症の勉強をしていまして、絵カードを用いて指差しでコミュニケーションをとる方法を使っていました。コミュニケーションツールを多く持つことも大切かと思います。現在、特に若い人はあいまいな表現が多く、日本人でもわかりにくい表現をします。たとえば何を聞いても、「大丈夫です」と返事します。外国人に日本語をきちんと伝える日本語を学習しないといけないのです。また今後外国人の家族が来られて、外国人の子供達の教育環境を作っていかないと思います。
介護はストレスの多い職場なので、みんなが元気で明るく介護ができるような努力がそれぞれの法人でも必要になると思います。

笹山周作
今日は藤澤さんと外国人の事についてお話ができたいへん有意義であったと思います。本当にありがとうございました。

開催日時:2019年7月10日(水曜日)10:00~16:00
開催場所:兵庫県民会館

連絡先
〒670-0072 兵庫県姫路市御立東5丁目1番1号
079-291-6666