外国人介護人材確保について

1年3ヶ月あまり外国人介護人財の入国が国によって停止されていました。その間人手不足がますます高まり紹介業者からの人財の紹介は、高い手数料(年俸の25%~30%)を取られ、その人財が長く働いてくれるかというと、2~3ヶ月で辞める人が多く、何のための高い紹介料だったのかといつも思いました。紹介料の上限の規制がほしいと私は考えます。政府は携帯電話について引き下げを行い、国民全員が助かりましたが、人材派遣等の紹介料については、経営に苦しんでいる介護業界等に紹介料の負担が重くのしかかり人材派遣業者にのみもうかり介護業界はますます苦しい状況が生まれています。

今年の5月と6月にインドネシアとミャンマーから技能実習生(13人)と特定技能生(25人)が来ました。これによって職員からの人手不足の不満もなくなるだろうと思っています。しかし、各施設に配属になってからが人財育成のスタートです。登録支援機関や監理団体は、外国人を各法人に引き渡せばそれで仕事は終わりであるかのように思っていますが、それは間違いであります。外国人の生活状況、例えば住まい、食事、病気、事故の時のサポート体制等がしっかりしてない法人に紹介するのは問題であります。それをチェックして指摘し、改善して行かなければなりません。そして各法人・施設は、日本語の勉強を教えて日本語能力検定N2を必ず取得させなければなりません。それと同時に介護福祉士の国家試験のサポートをして、介護福祉士国家試験に合格させなければなりません。そこまでが介護施設を経営している法人の責任であると私は考えています。このシステムの構築が、外国人にとっても法人にとってもwin-winの関係であります。これから6か月ぐらい経過すると戦力となって法人に大きなメリットが生まれてくるのではと思っています。しかし、多数の外国人を入れると人件費コストがかさみ、ただでさえ人件費比率が高いのにこれから介護の経営をしていくのが大変だと思います。

政府は効率化を追求して行こうと考えていますが、介護現場においては、機械化やコンピューター化で効率化できるところは、ほんのわずかな所であることを認識していなければなりません。どこまで行っても、人が行わなければならない所が仕事の大部分を占めていることを忘れてはいけません。過去20年余りあらゆる最新機器を入れてきましたが、なかなか人数を減らすことができませんでした。人数を減らすことは、サービス、ひいては介護の質を落とすことと同じであることを認識していなければなりません。介護報酬が上がらなく人件費が上がっていく状況においては、介護施設でできるサービスは、今後限られてくるのではないかと思います。

今回、この5月6月に外国人に来てもらって、6か月先には一定の介護の質を保つことができると思いますが、経営者にとっては大変厳しい状況が生まれてきます。最近の介護施設に来る人は、他の職種で働くことができなかった人がしかたなく介護に来て働きたいと思うような人や、長期に介護で働きたいと思う人がほとんどいません。よって、外国人で優秀な人のほうが介護の質が保てます。私は、日本人の優秀で介護をしたいと思う人はこれからも来てもらいたいのですが、問題は、人材派遣業者や紹介業者の高い手数料は、なんとか規制してほしいと思います。これは政府がすることです。そしてもっと介護職の魅力を高める広報や施策などをしてほしいと私は考えます。そうしないと10年後は介護崩壊が起こります。

営業について

介護業界特に社会福祉法人が経営する特別養護老人ホームやショートステイ、グループホーム、デイサービス等について営業やマーケテイングという概念が足りないのではないかと思い今年の4月14日と7月21日に(株)日本経営というコンサルタント会社に来ていただき幹部職員20人余りの研修を行いました。第1回は、4月14日に開催し、(株)日本経営発行の著書「介護事業所における営業力強化マニュアル」を無料で参加職員全員分を頂きましたので、その本の感想文を幹部職員に原稿用紙4~5枚書いてもらいました。私は、福祉業界はマーケテイングや営業がとても大切だと考えています。特に当法人の幹部職員は、デイの管理者だったり小規模特養の施設長やショートステイの管理者であります。営業の担当者を置くことができませんので、現場と営業と両方しなければなりません。お客様を増やすのも、広告宣伝するのも、人を採用するのも各部署の責任者であります。責任者に重く責任がのしかかっているシステムを取っていますので、営業、マーケティングの研修が必要だと私は思っています。これから人手不足が解消することはあり得ないし、人件費がますます高くなっていく状況は変わらないし、国の介護報酬のアップは期待できない時期が長く続き、このような3重苦を背負って進まなければなりません。私には、10年先がわかりますので、これから大変な状況が介護業界には生まれます。

2022年7月24日
笹山 周作